Cherry MXスイッチは軸の色によって打鍵感が変化する面白いスイッチで、一番の魅力はその”打鍵感”です。
今回は Cherry MX スイッチについて、個人的な見解ですが、レビューしてみます。

 

スイッチの種類

まず、スイッチの種類について軽く紹介します。
一般的に流通しているキーボードのスイッチは大きく2系統(4種類)に分けられます。

メンブレン系
– メンブレンスイッチ
– パンタグラフスイッチ

メカニカル系
– メカニカル(Cherry MX など)
– 静電容量無接点方式

※都合上、メンブレンスイッチとパンタグラフスイッチを「メンブレン系」、メカニカルスイッチと静電容量無接点方式のスイッチを「メカニカル系」スイッチとしてすすめます。

 

メンブレン系スイッチ

最も流通している一般的なスイッチはメンブレン系になります。
キーボードの種類も多いですし、ほとんどのノートPCはパンタグラフキーボードを採用しています。
これらメンブレン系のスイッチは構造的に【キー】の底辺に接点があるため、キーを底まで押し切った(底打ちした)時に入力が判定されます。

メンブレン系のスイッチを採用したキーボードには安価なものが多く、その”底打ち感”はだいたい柔らかく、グニャっと、フニャっとしたものや、ヘコヘコ、ペチペチした底打ち感がします。

この「柔らかい」系のキーがくせもので、キーを底打ちした時に入力判定があるにもかかわらず、キーの底打ち感が鈍く、さらにキーの戻りも遅いので、必然的に強めに底打ちするようなタイピングになりがちです。(のように感じます)

結果、これらの「柔らかい」系のキーボードを長時間使用すると、強めのタイピングを続けることになり、指や腕・肩が疲労してきます。

また、疲労が溜まりやすいからなのか、キーの底打ち感と戻りが鈍いからなのか、ミスタイプすることが多いように感じます。
入力リズムも悪くなり、快適さも欠けます。

※中にはメンブレン系のスイッチでも打鍵感がしっかりしている質の良いキーボードもあります。

 

メカニカル系スイッチ

メカニカルスイッチ(Cherry MX)や静電容量無接点方式のスイッチでは、スイッチを押し切る途中(まん中あたり)に入力判定があります。
例えば Cherry MX スイッチではキースイッチの底ではなく、キーストローク(押し込み距離)4mmのうち2mm付近の場所に接点があります。
青軸茶軸ではクリック感が抜けるあたりで、黒軸赤軸ではクリック感は無いですが、同じ押し込み2mm付近で入力が判定されます。
これによってCherry MXスイッチのキーボードでは底打ちをしなくても入力することができます。

そのため、軽い力でも入力することができ、長時間タイピングしていても安価なメンブレン系のキーボードほど疲労がたまらないように感じます。
また、底打ちした場合は、メンブレン系のキーボードよりも硬めな底打ち感があり、音も「コツコツ」「コトコト」と硬めの底打ち音がします。

比較的軽い打鍵感と軽快な底打ち感や音があり、リズミカルにタイピングできるので、ミスタイプも少なくなるような気がします。
気がするだけで気分の問題かもしれませんが、その気分もモチベーションにつながってくるので意外に大切です。

HHKB Professional2 の静電容量無接点方式と、Cherry MX系の打鍵感はまったく別物ですが、どちらも打鍵感は素晴らしく、軽快にタイピングができます。

個人的には、なんとなく”仕事”ではCherry MX系、”プライベート”ではHHKBと使いわけています。

HHKBの静電容量無接点方式スイッチでは、キーの押し始めがやや重く感じますが、それによって軽く底打ちするようなタイピングになり、その分しっかり・確実なタイピングができる感じがします。
(REALFORCE シリーズの静電容量無接点方式スイッチはまだ使ったことが無いのですが、いずれ使ってみたいと思っています。)

Cherry MX系のスイッチではキーの押し始めは軽く、底打ちする手前で次のキーに移るような、底打ちしない軽快なタイピングになる感じがします。

 

メンブレン系スイッチからメカニカル系のスイッチへの乗り換え

個人的な感想ですが、メンブレン系のキーボードからメカニカルスイッチに乗り換えると、最初のうちはメンブレン系のタイピング(しっかり底打ちする)スタイルに引きずられるように思います。

これは、しっかり底打ちしないと入力(判定)されない感覚が残っているためか、無駄に強く底打ちしてしまい、結果、メカニカルキーボードは「うるさいし疲れる」といった感覚になる場合があります。

しかし、メカニカルスイッチの入力(判定)ポイントを意識してタイピングをしていくと、無駄に強く底打ちする感じは減り、次第にタイピングは軽くなり、音も指の疲労も少なくなっていきます。

おそらく、茶軸が入門(初心者)向けと表現されるのは、気にならない程度のクリック感で入力されるポイントを確認しながらタイピングするのにちょうど良いためだと個人的には思います。

慣れてしまうと、入力されるポイントを意識しなくても、程よいちから加減のタイピングになってくると思いますし、クリック感の有無も好みの範囲で選べるようになってくるように思います。

「底打ちしないタイピング」と聞くと難しそうなイメージがあります。
しかし、慣れてくるとキー入力の判定ポイントから底打ちまで距離を感じるようになり、底打ちまで押し込む前に次のキー入力に移っているようなイメージがあります。
逆にパスワード入力や特殊なキー操作(使い慣れないショートカット)など、ゆっくり確実にタイピングするほうが底打ちしてしまいます。

 

Cherry MX スイッチについて

今まで、茶軸黒軸青軸赤軸の4種類のキーボードを使ってきました。(2017.2)

一番使用時間が長いのが茶軸で次が黒軸その次が青軸で、現在赤軸を使用しています。

 

軸色 クリック感 押下圧
赤軸 なし(linear) 約45g ±15g
茶軸 あり(tactile feel) 約45g ±20g
青軸 あり(click tactile) 約50g ±15g
黒軸 なし(linear) 約60g ±20g

 

茶軸(tactile feel)/ 約45g ±20g

茶軸のキーボードは約4年間ぐらい職場で使用していました。
最初のCherry MXスイッチのキーボードが茶軸でした。
当時(初代のMajestouch Tenkeyless)は選択肢が茶軸黒軸の2種類しかなかった気がします。(写真は POKER 2 の茶軸)

キーは軽く、軽快にタイピングできますし、少しのクリック感は気になるほどでもなく、クリック音もほとんどしないので癖も少なく扱いやすいスイッチだと思います。

入力されるポイントを程よいクリック感で感じることができるので、やはり入門用というか、初めてのCherry MX スイッチには最適だと思います。

底打ちしない軽めのタイピングではそんなにうるさくならないですが、元気よく底打ちタイピングすると、キーが軽いぶん”にぎやか”な底打ち音がします。

 

黒軸(linear)/ 約60g ±20g

黒軸は2年弱使用していました。
黒軸は押し込むほど反発力が強くなるので底打ちしないタイピングを意識した時にとてもタイピングしやすかったです。
クリック感のないリニアな押し込み感ですが、底打ち付近では結構重くなるので、その感覚と”こつ”がつかめれば底打ち手前で次のキー入力に移るようなタイピングができるようになり、比較的軽快・高速なタイピングになる気がします。

また、コピー&ペースト時のCtrlキーを押しっぱなしにするときなど小指でCtrlキーの押し込みをキープするのがちょっと重かったです。
特にコピペ作業が頻繁に発生する作業をすると小指の付け根に疲労がたまりやすかったです。

キーが重い代わりに、キーを押した後の戻りが早いので文字入力中心の作業では比較的軽快・高速にタイピングできる気がします。
個人的なイメージでは、短い時間でダーッとタイピングするような短期集中型の作業スタイルにあったキーだと思います。

底打ちするタイピングだと、ただただキーが重いです。
また、反発力が強めなのでキーを高速連打するような入力には向いてるかもしれません。
※高速に入力できますが、長い時間やると疲れます。

 

青軸(click tactile)/ 約50g ±15g

青軸は1年ぐらいと、たまに気が向いた時に使っています。
青軸には明確なクリック感があり、そのタイミングで「カチカチ」と音も発生します。
ですので、リズミカルにタイピングでき、単純に楽しいスイッチです。
また、キー入力は茶軸と比べると重めで、特徴としてはキーの戻りが若干遅い感じがします。

一人暮らしや、書斎があるような環境であれば、カチカチと楽しいスイッチですが、周りに人がいるような環境だと、相手にとってはノイズになるのでストレスを与えてしまう可能性があります。

青軸はゲーム用キーボードに採用されたり、ゲーム向きと評価される事があります。
クリック感(入力判定ポイント)が明確なので、それを生かしたスタイルでは威力を発揮します。
例えば、キーを軽く押し込んでおいてクリック手前でキープしておき、タイミングがきた瞬間にそのキーを押し切ると、入力タイムラグを切り詰めた入力ができます。
また、入力するタイミングや入力順序が重要な場合でも「カチカチカチカチ」とリズミカルに入力でき、タイミングもとりやすくなります。
このような、入力時のタイミングが重要なスタイルのゲームにはメリットがあるかもしれません。

しかし、例えば、ボイスチャットを利用するようなゲームでは、タイプ音がうるさく、他プレイヤーの邪魔になる場合があるかもしれません。

単純なキー連打ではキーの戻りが若干遅いので、黒軸の方が高速に連打ができるかもしれませんし、長時間連打する場合や、押した状態をキープにするようなプレイスタイルでは軽い茶・赤軸の方が良いかもしれません。

ですので、青軸が効果を発揮できるゲームのジャンルやプレイスタイルは限られてくるかもしれません。

 

赤軸(linear)/ 約45g ±15g

現在は赤軸を半年ぐらい職場で使用しています。
赤軸の重さは茶軸と数値的にもほぼ同じで、体感的にもほぼ同じように感じますが、個体差はあるかもしれません。

黒軸と同様、赤軸はクリック感の無いリニアな入力です。
赤軸のイメージはクリック感の無い茶軸とか、茶軸の軽さの黒軸というような、中間的な存在でしょうか。
茶軸の軽さが欲しくて、クリック感が邪魔な場合赤軸の選択になるのかなと思います。

個人的には、茶軸と同じ感覚でタイピングしています。
キーの軽さは軽快にタイピングできますし、素直なタイピングができるスイッチだと思います。
クリック感が無く軽いので、慣れるまでは入力ポイントがわかりずらいかもしれません。

 

おまけ

Cherry MX スイッチは、同じ軸色のスイッチでも、キーキャップの素材や重さ、キーボード本体や基盤の剛性が異なると、打鍵感が変わります。
軽い軸と重いキーキャップの組み合わせは、キー押し込みと戻りが若干遅く(鈍く)感じますし音も変化します。
軽いキーキャップの音はカチャカチャ感が強くなりますし、重いキーキャップではコトコトした感じに聞こえます。

また、キーキャップの素材もいろいろあり、2色成型キーキャップは若干重い感じがしますし、材質の違い(PBT樹脂やABS樹脂)でも打鍵感が変わります。

交換用キーキャップがあるのもCherry MX スイッチの特徴です。

FILCO Majestouch シリーズのキーキャップは軽く小さめです。
ですが、同じMajestouch用のキーキャップでも、別売りの2色成型カスタムキーキャップは背が高いですし、重さも重そうです。

また、装飾用(esc, W,A,S,D等)のキーキャップもあります。

直販限定・Majestouch用カラーキーキャップセット

 

まとめ

  • Cherry MXスイッチは軸の色によって性格が変わり、タイピングのしかたによっても打鍵感が変化する面白いスイッチです。
  • Cherry MX スイッチではキーの底ではなく、キーストローク(押し込み距離)4mmのうち2mm付近の場所に接点があるので、底打ちをしなくても入力することができます。
  • 軽い力でも入力することができ、長時間タイピングしていても疲れません。
    また、底打ちした場合は、硬めな感触と「カチカチ」と底打ち音が発生します。
    個人的にはCherry MX スイッチは底打ちしないでタイピングしたほうが、個性を生かせるスイッチなのかなと感じています。
    もちろん、硬めの底打ち感を生かして「カチカチ」「スコスコ」と軽快にタイピングするのも楽しいスイッチだと思います。
  • メンブレン系のスイッチよりも、Cherry MX スイッチのほうが底打ち感が硬く明確なため、音も硬めの音が発生します。
    そのため元気よく底打ちすると結構にぎやかな音が発生しますし、指への衝撃も強く打ったぶんだけ返ってきます。

 

おすすめ Cherry MX スイッチ キーボード

Cherry MX スイッチ を採用している定番のキーボード「FILCO Majestouch 2 91テンキーレス」の日本語配列です。

茶軸

 

黒軸

 

青軸

 

赤軸

FILCO Majestouch 2 シリーズには他にも、英語配列やテンキーのあるフルサイズキーボードやコンパクトサイズの MINILA シリーズ、Bluetooth 接続のキーボドもあります。

また、Cherry MX スイッチ を採用しているキーボードは、他にも国内外のメーカーからいろいろなデザインのキーボードが販売されているので、機会があれば紹介していきたいと思います。